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卒業式の日 1


「……。もう…、ぐ、……」
なにやら揺れている。
地震でも起きているのか?
段々と揺れは大きくなってくる。
う、ううーん……。


ふと気づけば、“仰げば尊し”
その歌詞が流れる中、俺はぼんやりと目を覚ました。
あ?

揺れていたのは地震じゃなく、自身だというのに気がついた。
椅子に座り、全身で船を漕いでいた。
それだけのことだった。

それがわかった原因。
それが、俺の隣にいる。

「おい、おいって、起きろ!」
俺の腕を小突いてきた奴がいたからだ。
そつのせいで、俺の体は右へ左へユラユラする羽目になったんだ。

「んあ?」
いい気持ちで寝ていたというのに、一体何だっていうんだ。
まだ寝ぼけている頭を振りつつ、俺は隣の奴を見た。

「こんな時まで寝れる、お前のその無神経さがわからん!」
俺が起きたのを確認するなり、小声で罵声を上げ、
ぷいと怒ったまま、そいつは正面を向いてしまった。

何だっていうんだ。
寝こくのが、そんなに悪いことだというのか?

知らず知らずの内に、俺は両手で握りこぶしを作っていた。

わなわなと怒りに震えるのは当然だろう!
何でこんな一方的に云われないとならんのだ!

そう思えば思うほど、拳はどんどんと胸の上を上がっていき……。

勝手に怒りを向けられた腹立たちさは、同様に怒りとなって現れる。
起き抜けに馬鹿にされたこともあり、心底、腸が煮えくり返る思いがする。

けれど、この静寂の中。
この室内で怒鳴りつけるのが最低だということくらいの分別は、俺にだってある。

はーーーーっ。思い切り息をつき、
持っていきようのないモヤモヤした心を少しでも解消するために、
挙げた手を、どうにかして頭まで下ろすことに成功した。
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