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雀(隣の家)10

「これはいいお宝じゃ」
じいさんはカサカサ動く箱の中身の音を耳にし、
「けれど生もんだよ、あんた。すぐにどうにかしないといけませんよ」
ばあさんは箱から虫が出てこれないように、しっかりと綱で縛ります。
「いい考えがある。だから引き取ってきたんだよ」

じじばばは頭を突き合わせながら、ひそひそと相談しました。

「じゃ、今から行ってくるかいな」
じいさんがどっこいしょ、と大葛籠を背負うと、
「はいよ、行ってらっしゃい。明日は御馳走だねぇ」
ばあさんはにこやかに返します。

まったくのう。正直に、隣の爺さんたちに話すもんじゃ。
うしししし。
じいさんの笑いは一向に止まりません。

うきうきしながら、爺さんは、山向こうの村へと歩みを進めます。


やれやれ、やっとついた。
半日かけてじいさんは、お目当ての門戸の前に着きました。

よっこらせ。
もう一息とばかり、じいさんは気合を入れて、戸に手をかけます。

「ごめんよ。いるかい?」
声をかけると数秒もせずに、奥から人が出てきました。
「おや、ご無沙汰だね。今日は何かよい出物でもあったのかい?」
そう云って奥から出てきたのは、腰の曲がった中年男でした。
ずり落ちそうな眼鏡をくいっと上げて、じいさんの顔を覗き込みます。

その男の顔を見るなり、じいさんは勿体ぶった態度を示しました。

「ほう」
男は期待しているとも、してないともいえない表情になりました。

じいさんは、少しムッとしながら葛籠を下ろします。
「先だってのは、二束三文だったからねぇ」
にやり、といやらしい笑い方をされても、じいさんはめげません。

じいさんは勿体ぶった調子で葛籠の箱に手をかけました。

ぱかり。

葛籠に入っていた虫を見せると、その男は驚き、感嘆の声を上げます。
「おいおい。こんな高級品。どこで手に入れたのかい!!」
男は葛籠に入っている色々な虫を見やり、じいさんを凝視しました。
けれども、じいさんは何食わぬ顔で、ひょうひょうと答えます。
「そりゃ、企業秘密ってやつだよ。
でどうだ? 買い取ってくれるか?」
「もちろんだ!」
じいさんの持ってきた虫は、その男が全て高値で買い取りました。

しししし。
大きな皮袋に大金を入れ、じいさんは半日かけて元来た道へと帰宅の途につきます。
喜びが大きい分、山道への苦労などどこ吹く風で、足取りも軽くなっておりました。

その額、先日じいさんが雀から貰った葛籠に入っていた金銀よりも多かったのです。
ほくほくしながらじいさんは大金を手に、ばあさんが待つ家に帰っていきました。


薬屋に葛籠の虫全てを高値で売った、正直もんのじいさんばあさんは大金持ちになり、
一生遊んで暮らしましたとさ。
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