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雀(隣の家)9

箱の中から、ありとあらゆる虫が出て来たのです。

「「うぎゃーー!!」」
爺さんと婆さんは出て来た虫に驚いて、腰を抜かして慌てふためきます。

一緒に見ていた正直者のじいさんは。
「こりゃ大変だ! ワシ等が捨ててきてやろう。
ばあさん、手伝えや!」
「はい、じいさん」
阿吽の掛け声で、二人はさっさとその大籠を持って出て行ってしまいました。

その行動の速さに、爺さんと婆さんは呆気にとられ、ポツンと取り残されます。
そうしてその場はあっという間に、静寂に包まれていきました。


…………。

「やれやれ、全く大変なことになったもんだ」
爺さんがぽつりとつぶやくと、
「欲はかくもんじゃ、ないですね。所詮は獣ですよ。
騙されたんですよ。命があっただけ、よかったじゃないですか」
我に返った婆さんが慰めます。

「そうだなぁ」
爺さんはしんみりと答えながら、
あれだけ楽しく過ごさせてくれたというのに。
雀たちとの酒盛りを、ぼんやりと思い返しておりました。

「まぁ、楽しい夢を見たと思えばいいじゃないですか」
どっこいしょ。婆さんは立ち上がると、
「そうかのう」
爺さんは納得しかねつつも、婆さんの云う通り、夢と思うことにしました。

そうして、爺さんは、婆さんに雀のお宿に連れていかれたことを
楽しげに話しました。
そうして、葛籠を貰って、気づくと家の前に居て。
そうして、じいさんに云われるまま、葛籠を開けたところまで話すと。

思い出したように爺さんは呟きました。
「そういえばなぁ。
あんな大量の虫を捨てに行ってくれた、隣のじいさんたちに感謝せねばな」
「そうですねぇ」
と、二人は呑気なことを話しておりました。


がしかし。
その頃、大葛籠を持って家に帰っていった正直者のじいさんとばあさんは。

「ししし。まったく、無知というのは恐ろしいもんだね」
「そうだなぁ、ばあさん」
引き取ってきた大籠を前に、二人は狂喜乱舞しておりました。
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