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雀(隣の家)7

『そうか。大役、よく果たしてくれたのぉ』
長老はそれだけ云うと、客人である爺さんを迎えるため、
その場から去りました。

一羽、ぽつんと残された雀に、
『よう。ごくろうさん』
傍らで見ていた仲間の雀が声をかけてきました。
二三、言葉を交わすと、
『しばらくお前も末席で、ご相伴にでも預かってこいよ』
にやにやしながら仲間の雀は提案してきます。
いつもなら無視するはずが、雀は疲れきっていたこともあり、
『そうだな』ぽつりと呟くと、その場から羽根を運びました。

雀が宴会場に羽根を運んだ時には。
すでに爺さんは大満足で出来上がっており、料理に舌鼓を打っております。

「婆さんに悪いのう」
云いながらも、爺さんの手にした箸は止まりません。

「こんな御馳走、よいのかのう」
時折、勧められる酒を、注がれるままに飲み干していきます。
一口含むことに、頭が段々と朦朧としていましたが。
酒のせいと、爺さんは全く気にもとめません。


『まぁま、楽しんでいってくだされ』
爺さんの隣に座る長老もまた、酒も料理も増々爺さんに勧めます。
そうして、いつしか酒で口が軽くなった爺さんに。
長老は何でもないようにたずねます。

『して、どうしてこのようなことをなさったのですか?』
尋ねられるまま、爺さんは、正直者のじいさんの事の顛末を喋りました。


それを聞いていた若い雀たち。
『やっぱ、そうじゃん』
ひそひそと、耳打ちを始めます。
『でもさ、この前に来た人間。あれだけ痛めつけたのに、何で真似るかね?』
『人というのはわからん生きもんだな』
『でもさ。こいつの家の食べもんで、誰も腹は下してないんだろう?』
『この爺さんの庭には、きちんと食べれるモンがあって、
山向こうの鳥たちは助かっていたのだろう?』
『そうだよ、いい人間じゃないのか?』
『結果的にそうなった、ってだけじゃねーの?』
『ま、俺たちには関係ねーけどな』
『そりゃそうか』
『でも、あいつをどうするんだろうな?』

末席にいた雀は会話に参加せず、耳だけ傾けていました。
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