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雀(隣の家)5

『此度は、我々を助けていただきありがとうございます。
その御礼といたしまして……』

爺さんがのんびり縁側で茶をすすっていると。
雀が一羽、爺さんの目の前に降りてきて、そうして一言。

人語を喋る雀に、爺さんは一瞬で固まってしまいました。
な、何が起きておる???

呆然として、雀の言葉を右から左へとスルーしていました。
(人間誰しも、予想外のことが起きると。
中々受け入れられないものです)

『あの、聞いていらっしゃいますか?』
雀が不安そうに首を傾げ、爺さんを眺めます。
ようやく我に返った爺さんは、あたふたと雀に答えました。

「あぁ、聞いとらんかった。で、ワシに何ぞ用かい?」
もし正直者のじいさんが云ってたことが本当ならば。
この後、雀の国に迎え入れられることになる、のか?

期待と不安の二つ心で揺れながら、爺さんは雀を凝視しております。
でもなぁ。この庭に、雀らしき鳥は来んかったのじゃがのう……。
爺さんは首を傾げつつ、雀の話しを聞いていました。

雀は呆れた顔をしながらも、
此度の功労により、我らの長老はあなたに礼が云いたい。
そう申しているということを、うやうやしく、爺さんに向かい、雀は述べました。
もし応じていただけるのであれば、今から早速案内します、とも。

爺さんは、婆さんに声をかけることなく出かけるのはためらわれました。
雀の迎えが来たのは、婆さんが庭に撒け、といったおかげであるのですから。
本当の功労者は婆さんなのに……。
けれどもし、此度の誘いを断ったとしたら。
こんな機会は二度と訪れるものではないのではないか?
そう考えると、一も二もなく、
「連れて行っておくれ!」
爺さんは雀に肯定の返事をしておりました。

『そうですか。
では、しばらくは私の後をついてきてください』

雀はパタパタと上空へと舞い上がり、回旋しながら、爺さんの様子を眺めておりました。

身支度をした爺さんが外に出るのを雀が見届けると。
雀は一直線に羽根を向け、爺さんを先導し始めます。
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