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雀2

『あぁ、酷い目に遭った』
じいさん宅で腐った糊を食べた雀は、仲間の雀に文句をたれました。

『けれど、一応そのおかげで戻ってこれたんだから』
『そうなんだけれどもさ~』
はぁ、と溜息をつくと、雀は長老にそのことも一緒に報告しました。

『そうか。長旅ご苦労であった。
して、おぬしが勝手に食べた人間の食事に対する恩は、報いんとならん。
お前、招待してまいれ』
『えぇぇぇ!?』

腹を下した身としては。
その恩に報いないとならないことに、どうにも納得が出来ず。
さりとて、長老の御言葉に逆らうことも出来ず。
悶悶としつつも、雀は一計を案じました。


じいさんが山へ芝刈りに出かけると。
それに合わせて一匹の雀がじいさんを追跡し始めます。

じいさんが山の中腹までいくと、雀は声を掛けました。
「ちゅんちゅんちゅん」
『おじいさん、この前は貴重な米糊を頂戴してしまい、申し訳ありませんでした』
いきなり声をかけられびっくりしたじいさんでしたが、
すぐに自分よりも小さいものが声をかけていると知り、大きな態度になりました。

「なぬ? おぬしが犯人だったのか。
あの糊は貴重なものでな……」
いかに大切な糊だったのかと、つらつらとじいさんは雀に語りかけます。

あんな腐った米をそんなに云われると。
そのせいで腹を下した雀は段々と腹立たしく思えてきました。
うんざりしてきた雀は、じいさんの話しをぶった切ろうと、
『えぇ、なので。
そのお詫びとお礼を兼ねて、おじいさんをご招待しようとお声をかけました』
雀がきっぱりと云い切ると、じいさんはそれ以上文句を云えず、黙ってしまいました。

『さぁさぁ、私に着いてきてください』

じいさんは胡散臭げに思いつつも。
何か起きたところで、雀くらいならどうにでもなるだろう。
と鷹を括り、着いていくことに決めました。

とある場所まで行くと、雀はじいさんに、ちょっと後ろを向いていてください。
と話しかけました。
じいさんは素直に後ろを向くと。
雀はすぐに、もういいですよ、と声をかけました。

じいさんが振り返ると。
そこには人が通れるくらいの道が出来ておりました。

「ほう、これは」と、感心しながら雀の後について歩くこと数分。
大勢の雀に迎え入れられ、じいさんは驚きを隠せませんでした。

『この度は、うちの者がご迷惑をおかけしたそうで』
その中で一番老けて見える雀がじいさんに向かい、挨拶をしてきました。

『これは、ささやかながらのお礼になります』
老雀がそう云った途端。

じいさんの体が持ちあげられ、丁重に客席へと運ばれました。
目の前には見た事もないような豪勢な料理や酒が並べられております。
目が点になったまま、動かずにいたじいさんに、
『さぁさ。遠慮なさらず』 と、料理を勧めます。

老雀が両の羽根をぽんぽんと叩くと。
ささっと若い雀がじいさんの傍らに着き、酒を注ぎ、料理を運び、せっせと世話を焼きました。
それからどれだけの時間が過ぎたことでしょうか。

じいさんは腹が満たされると、ふとばあさんのことを思い出しました。
「帰りたくはないが、ばあさんが待っとる。
残念だけれど、帰らにゃならん。
こんなもてなしを受けるのであれば、ばあさんも一緒がよかったのう」

ばあさん共々、もてなしてもらいたい。
という本音を隠しつつ、遠い目をしながら、じいさんは老雀に語りかけました。
けれど。

『こやつがお世話になったのは、あなた様なので、それは出来兼ねます。
その代わり』
老雀が云いつつ、両羽根をぽんぽんと叩くと。

ささっ、とじいさんの目の前に、大小二つの葛籠が用意されました。
『このどちらかをお土産にお持ち帰りください』

そう云われ、じいさんは持ち帰りが楽な小さい葛籠を選びました。

雀たちに見送られ、最初に案内してきた雀が、じいさんと出会った先まで送ると。
雀は羽根を広げ、パタパタと大空に飛び立って行きました。

「いやはや。土産までもらえるとはな。
これで薪拾いをしなかった言い訳が出来るわい」
にこにこ笑いながら、じいさんは安心して岐路に着きました。

家に帰ると、じいさんは詳しい話しは置いておき。
ばあさんに話し出しました。
雀の集落に行って、馳走になった話しをし、土産にもらった葛籠を見せました。

ばあさんは話し半分に聞いていましたが。
その葛籠に入っているものが気に成って仕方がありません。

「じいさんや、早くその中身を見せてはくれんかのう」
じいさんを急かすと、じいさんは勿体ぶりながら、葛籠を開けました。

するとそこには。
驚くくらいの大判小判が入っているではないですか!

ひえぇぇぇ。
じいさんとばあさんは腰を抜かしてしまいました。

まさか腐った糊が、大判小判になるとは。
じいさんは、開いた口がふさがらず。

翌日、隣のじいさん夫婦に、正直者のじいさんはその出来事を話しました。
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