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Dish 7
ウェイターの言葉に。
”へへっ。俺様もじっくりと、ご賞味させてもらうよ”
今は攻撃してくると思っていたナイフとフォークでさえ、
俺様の味方に思えてくるから不思議でならない。
“おい、お前等、上手い具合に切って、それをここの割れ目に落とせ!”
“えぇぇぇぇ…。そんな。僕は人の手にかかっていて、自分じゃ動けないんですよ~”
情けない声のナイフは相変わらず皿に振り回されていました。
相方のフォークは、今までのように皿をからかえなくなり、だんまりを決めこんでいます。
時々、ナイフとフォークの使い方が分からない人間は、
皿の腹をぶち抜かんとするくらい力をかけますが。
皿にとっては、ヒビが大きくなるのでなんとか我慢が出来ました。
ヒビが広がるほど、俺様の体内に入る味わい深いもんが増えるな。
体内に入るものの味わいを感じつつ、皿はふと思います。
しっかし、老皿とかそういった仲間たちは、みんなこんなことをしていて、知ってて。
新参皿には云わなかったのか? ひで―奴等だな。
皿はそうひとりごちますが。
そういう皿も、新しく入る皿に、何も教える気は全くありませんでした。
意気がる新皿に、何を云っても無駄ということを、自ら体験しているからです。
味を占めた皿のヒビには、その内に段々と美味い固形物が入る量も増えていきました。
最初は客の食べ残し。
それらをぺろり、と平らげます。
“滲みこんでくるもんよりも、こりゃ元気になれるぞ!”
味を占めた皿は段々とエスカレートしていくようになりました。
客同士の歓談中。
皿の上で切り分けておいた食材が、一つ二つと、彼等が食べる前に消えていくのです。
客は不思議に思いつつも、歓談が楽しく、無意識に食べていたのだろう。
自らをそう納得させました。
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