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Dish 5

“何で、何で!?”
……唖然呆然。
“今日も俺の体に、なんで冷たいニュルニュルしたもんが乗っかってんだ?!”

皿は信じられない! と云わんばかりに、
誰に向けてよいかわからない怒りを空に向け、声を張り出しました。

“昨日、散々水の中で痛い目に遭ったというのに。
折角の白い肌に傷をつけたというのに。
なぜなんだ!!!“

しかしその声は誰にも聞きとられず、虚しくこだまするだけでした。

残念なことに皿のヒビは目立たず、料理を載せるのには何らの支障が無かったのです。
何より、下働きが給料を差っ引かれたくないため、欠いたことを黙っていました。
料理人は忙しさのあまり、少しのヒビにはまるで気づかず、皿を使い続けました。


“はぁ…。俺って。何やってんだろう”
今日もナイフとフォークに体をいたぶられ、
ヘロヘロになりながら、水と泡の風呂に浸かって一日を終えました。

“はぁ”
あれ? 何だか息苦しい…。
溜息をついたでいか?
これも肉体労働のせいだろうか?
それとも老体になるって、こんな感じ……?

皿は自分で云った言葉に落ち込むと、それ以上突っ込みを入れることも、ここから逃げ出そうとすることも、考えることが出来なくなっていました。

息苦しさを感じながらも、皿に対する毎日のように悪魔の所業は続いておりました。



そんなあるとき。
皿の割れ目から液体が一滴、体の中に入ってきました。

痛い! 熱い! 重い! 気持ち悪い!!!

今までそんなことばかり思っていた、体に置かれたもの。
健全な表面でいられ時は、それくらいしか気に成らずにいられていたのです。
しかし今は……。
皿にのっかるその一部。
それが皿の体内に浸透してきたのです。

“んん!? なんじゃこりゃ!!”
シミ一つ無いのが自慢の皿に、黒いミシが一筋出来てしまいました!

“うびゃーー”

皿は自身の体が真っ黒に染まる内部に驚き、浸食を止めようとしますが。
憐れ。どうしょうもありませんでした。

“や、やめろ! 俺の中に入ってくるんじゃねーよ!……”

けれど、虚しいかな。液体はどんどんとしみこんできます。


“俺も、これで、終わり、か…”
そう考え、全てを受け入れた瞬間。

今まであんなに辛かった息苦しさも消え、どんどん元気を取り戻すようになっていきました。

“な、なんで?”
びっくりする皿でしたが、ふとあることに思い当りました。

“あいつらが云ってたのって、もしかしたらこれのことか?!”
頭に浮かぶは、あの姦しい仲間の皿のこと。

若いからまだわからないだの、なんだの。
そういや、あいつら変なことを云ってたけれど。

そのことを思い出すと、皿は体内に入る異物以上に、真っ青になるくらい驚愕しました。
”もしかしたら、俺も、あんな風に、いやん、とかその内に云い出すのか?”
ぞーーーーっ|||

皿はそう考えただけで、一瞬にして綺麗なブルーに変化してしまったのです。
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