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あっちーね

あっという間に、7月が終わり!

月末月初で、大わらわ orz……

ううっ。
明日は普通に更新できるのかしら?

そいえば、知らぬ間に、梅雨明けしていたような?

北海道は、もう秋の気配とか…。
沖縄は、台風が来ているとか…。
日本は北から南へと長いんですねぇ。
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卒業式の日 6

まったくさ。何が楽しいんだか。

隣の奴が目を輝かせて見る先を、俺も同様にただ眺めてみた。
そうすりゃ、何か別のもんが見えるかもしれない。
とか、思ったり、思わなかったり。

檀上の上では、人が降りたり上がったり。
せわしなく移動しているのが見て取れる。
その間に、一人で気持ちよさげに喋っていく。

相手がいなくて、よく器用に一人でぺらぺら云えるもんだ。
ある意味、感心するわ。

遠くから見れば見るほど、その姿は働き蟻のように思えてくるから不思議だ。

こちとら、踏ん反り返って、その様子を見ているだけ。
蟻とキリギリス、ってか?
あーそいや。キリギリスは遊び過ぎて、最後に死ぬってか?
はっ、なんだか笑えねーわな。
自分の皮肉な妄想に、どこか背筋がヒヤリとする思いがした。

檀上にいる少数派の奴等が偉いはずなのに。
それでも床に折りたたみ椅子に座っている、コッチ側の俺たちが偉く感じられる。
ってか、座れなきゃ、やってらんねーわな。

深呼吸の代わりに、腕を組んだり、組んでいた足を組み替えたりと、
寝ないための無駄な努力を試みてみた。

はぁ。
つまるところ、興味の無いことに長時間付き合わされるのは、拷問でしかない。
それが証明されたということだ。

校長や来賓の言葉なんて、価値があるのか?
つまんないこと云うだけで、無意味じゃないか。
ためになるようなことも、笑わせるようなことも、何も云わない。
それのどこが有難いんだ。
有難迷惑なんじゃないか?

あーー、でもなぁ。
こいつのように感激する奴もいるんだよなぁ。

ちらり、と横を覗き見すると。

……。
奴はいつの間にやら、ティッシュを取りだし、鼻をかんでいるではないか。
しかも、かんだティッシュはけっこうな山となって、いる……。
俺には全く理解出来ない奴だ。

しかしなぁ?

こんな奴、俺の同級生にいたっけなぁ?
同級生ではなかったとしたって、こんな奴、見たこと、あったっけ?

みずがめ座δ流星群

ニュースになっていたけれど。見えるものか?

ううーん。
こういうのは地域差というのがあるのだろうか?

昨日から見ているけれど。まーったく見えないぞ




毎日暑いですね~。
空を見ても、流れ星が見えない。
そのかわり、すずなの汗が流れて見える(笑)

夜の風は結構涼しくなってきているけれど、
秋はすぐそこ?

卒業式の日 5

あーーー、くそ、ダメだ。
くだらないことを考えると、よけいに瞼が重くなってくる。
手で頭を軽く叩いたところで、睡魔は襲ってくる。

つい、うつらうつらと船をこぎ始めると。

……隣から。
なにやら不穏なオーラが漂ってくるのが、わかる。
わかってしまう俺が恐ろしい……。
そろり。
俺は何気なさを装いつつ、隣に目線を寄越してみると。

あっちゃーー……。
何だよなぁ。
こいつ、俺のストーカーか?

俺の睡魔をどうして感じ取るのか。
またもや隣の奴が睨みをきかせてきているよ、おい。
気持ち悪いにもほどがあるだろう。
はぁ。何だよ、もうなぁ。
さっきまであんなに泣いていた奴が、もう怒りの表情だ。
こいつ、やっぱ、変だわ。

睨み返そうとしたけれど、向こうの方が一枚上みたいだ。
俺の視線に気づくと、ふん、と云わんばかりの表情を作りやがる。
まるで、出来そこないを指導するお偉いさん、といったところか?
優等生はさすがに違いますことよ、ってとこか。
あーーー、何だかムカつく!
内申なんてもう関係ねーだろうよ。
俺みたいなのを指導したところで、どうってことないんじゃないの?
と、思いつつも。

なんでか、俺の心は平然としていた。
これって、あきらめ?
いやいやいや。最後の最後で揉めたくもありゃしないし。
眠気もそがれた。
それだけだ。きっとそうだ。

俺は腕組みして、正面を見据えた。
隣の奴は俺の態度に満足したのか、また檀上を凝視し始めた。

はぁ。
もう勘弁してほしいわ。
すること無くて、椅子に長時間座ってるのって、マジないわ~……。

他人の表情は見えるけれど、体は見えない。
気分悪くなるから見たくないと思って目を瞑りゃ。
隣の奴から、批難轟轟の表情の嵐。
やってらんねーっちゅうの。

だったらさ。
多少の気持ち悪さは我慢して、
今度は俺がそいつを観察してみようと思った。
さっきのお礼、というもんじゃないけれどさ。
暇つぶしでもしとかないと、また寝そうだし。

こいつのことだ。
今度俺が寝たら、次は足蹴り。
それでも効かなきゃ、最後は頭を殴ってきそうだよな。
そう、目に涙をいっぱい溜めて。怒りに震えて、わなわなと。
まるでチワワのように。
そういや、チワワって、でかい目に水の膜が張ってて、ぷるぷる震えて……。
まるで、こいつのようじゃね?
想像しただけで、
ぶふっ!
思わず吹き出してしまった。
げっ、しまった……。
恐る恐る隣を見る。

けれど。
隣の奴は、それくらいのことには何も反応しなかった。

なんだ? こいつ。
普通だったら、不謹慎だろう! 
とか云ってくるか、睨み付けてきそうなもんなのにな。
こいつの基準というのがわからん。
まったくもって、真面目な奴ほど、何考えてんのかすら、わからんわ。

正面の一点を見据えて、ただただ呆けたような。
いや、恍惚しているような表情だな。
俺の存在など知らない、と云わんほど真顔になっている。
一言一句、聞き漏らさないかのような真剣さに見えるよな。
ノートとかあったら、がりがりとメモっていそうな奴だな。
あ~、真面目な奴って、どうしてこうも他人の言葉を信じたがるのかね。
そんなに檀上の奴はカリスマなのか?

だったら最初からそういう風に真剣に聞いておいて、
不真面目な俺をほっておいてくれりゃいいのにさぁ。

一体なんだっていうんだか。

卒業式の日 4

誰も俺がそんなことを考えているとは思わないだろう。
そりゃそうだ。
こんな式が早く終わってほしい、って考える奴は、多少はいるだろうけれど。


とはいえ、周りを見回す勇気は今の俺には無かった。
顔は見えても、顔から下が霞かかったように見えるのだけはごめんだったからだ。

なんていうの?
気分が悪くなりそうなんだよ。
頭がぐらぐらして、足元がふらふらして。
あぁ。そうだ。
酔っ払いとか、そういう感じとおんなじなんだろうよ。
うぇ。
大人になっても、酒なんて飲みたかねーわな。

つまらない感想をもたらしてはいたが、気が晴れるわけじゃない。

どうにかこうにか気を取り戻し、
俺は隣の奴を憐れむように、見やってやろうとしたが。

あ??
組んでいた両腕が思わず、ずり落ちそうになるくらい、
思いっきり脱力して、椅子から転げ落ちそうになった。

なぜなら。
そこには感極まったように涙ぐんでいる顔があったからだ。

んだ? こいつは。
おいおいおい。
マジ、ねーわ。

そんなに檀上の話しは感動モンだったのか?
俺には全くその声すらもが聞こえないというのに。

そいつは鼻をすんすんと鳴らしながら、
視線を前に向けて、真っ直ぐに聞き入っているじゃないか。

そんなつまらないことが俺の頭をかすめたのは、ほんの数分だっただろうか。

誰にも邪魔されることなく、式は滞りなく、順調に規則正しく流れていく。
次第に俺は、隣の奴のことすらどうでもよく思えてきて、
段々と、睡魔が襲ってくる。

あぁそうか。
さっきの俺は、こうやって寝落ちしたんだろう。
納得しかけて、ようやく俺はまた、深い睡眠に陥ろうとしていた。

檀上の奴等の声はまったく聞き取れない。
よくこいつは涙ぐめるほど、その声に感情移入出来るもんだ。
嫌味じゃなくて、マジで感心するわ。

ふぁぁぁ。
大きなあくびとともに、俺はまた夢心地になっていく。
そうだ。俺には檀上の奴等の声が、よく聞こえないんだ。
子守唄にしか、聞こえ、ないんだ、よな。

自分の母国語にすら聞こえない声を、どうしてだか何も疑問がわかなかった。

元々、視力よか、聴力にゃ自信が無いせいでもあったのかもしんねーな。
目が見えなくなるよりも、耳が聞こえない。
その不自由さがまるで違うだけだ。

卒業式の日 3

目線を下げ、身に着けているものを見る。

おや?

なぜか、ぼんやりとしていて、はっきりしない。
目にフィルターでもかかっているんじゃないか、
というくらい、すっきりとしない。

目をこすったところで、変わりない。
俺の目が悪くなった?

いやいや、自慢じゃないが、視力は1.0以上ある。
それに、いきなり視力が落ちるわけがない。

左右を見回し、俺のことを起こした奴の顔をじっくりと眺めてみた。
そいつの顔ははっきりと見える。
やっぱり、視力は落ちてはいない。

けれど……。
そいつの顔から下を眺めようと目線を下ろすと。

何で?

俺自身の体同様、そいつの体もはっきりと見ることが出来ないでいる。
いったいどうしたというのか。

再度目をゴシゴシこすりながらも、
まぁ、気のせいだと思うことにしよう……。

そう。そうやって、思い込もうとした。

楽観的に考えたからじゃない。
逆だ。
わけがわからないことは、知らないほうがいいんだ。
短い人生の経験則からの知識というもんだ。

わからないことを知るというのは、時に恐怖を伴うというもんなんだ。

知らないこと、知りえないこと。
知りたくないことなど、知らなくていい。

そうだ。
この式だって、もうすぐ終わるさ。
そうしたら、少しは状況だって変わるだろうよ。

治ってなきゃ、そん時は病院にでも行きゃいいさ。

くろいあくま


おみやげ、もろた。

アイス

海外では、なぜか、かわいいというイメージではないらしい・・・・・・。
You Tube たまたまみたら、けっこうこわかった・・・。

いや、笑いをとっているのか??

く〇もん、ではない、と銘打っているようですが。

ふ〇っしー、もだけれども。
日本はキャラクター作るのって、好きですよね~。

えぇ、他人事ではなく。
ワタクシも大好きです。

卒業式の日 2

んなことより。
眠りを中途半端に妨げられた。

そのことの方が、俺にとっては一大問題だ。
中途半端な目覚めだからこそ、
思いっきり深呼吸でもしたい気分に駆られた。
けれど。


きょときょと、と、目だけで周りを見回してみた。

……はぁ。
それを許さない雰囲気が漂っている。
んだよ、これは。

さすがにそれくらいの空気は読める。
だから俺は身を潜めることにした。
辺りの空気がピンと張りつめているのを肌に感じ取ったから、
仕方なく、だ。

いったい何が起きているというのだろうか。


俺は椅子に座っている。
うん、それは間違いない。

目の前には。
ずらりと丸い黒や茶色などの色が目に入る。
何列もの椅子があり、そこには人が座っているのが見て取れる。

その先を見ると。
どこかで見たような、懐かしい光景が目に映った。

それらを合計して、全体の光景を大雑把に把握すると。

ここは体育館の中で。
檀上では、偉そうな奴が何やら話しをしている。
そして、卒業式には欠かせない歌が流れている。

推測するに。
今、俺は卒業式に出ている、というのか?
しかも、察するに。
俺って、もしかしなくても。卒業生?!

げっ! 俺、まだ学生だったっけ?!
やっべーわ。俺、卒業、出来んの?
いや、出来なきゃ、こんなとこに居ない?
この式に出ていること自体、卒業出来るって証拠か?

はーーーっ。いやいやそうか。
俺は卒業するのか。

胸をなでおろし、ほっとしたのも束の間。
いきなり逆方向の考えが、ポッと出てきた。

いやいやしかし、もしかして、追い出しの方かもしんねーし?

そう考えると、もうたまらなくなった。
隣にいる奴は俺の知らない顔だし。
もしかして、留年して、一学年落ちした??
前に座っている奴等が、俺の同級生だったとか???

そう考えると居てもたってもいられなくなる。


俺の立場は一体どっちだ???

ふと、いいことを思い出すと、俺の視線を自分の腹付近に落とす。

そういえばさ。
こういう式って、卒業生は絶対的に、花とか着けてんだろう?

根拠のない自信ではあったけれど。
俺は、自分の洋服を見やった。

ん?
しかし。
なぜか俺自身に違和感があった。

卒業式の日 1


「……。もう…、ぐ、……」
なにやら揺れている。
地震でも起きているのか?
段々と揺れは大きくなってくる。
う、ううーん……。


ふと気づけば、“仰げば尊し”
その歌詞が流れる中、俺はぼんやりと目を覚ました。
あ?

揺れていたのは地震じゃなく、自身だというのに気がついた。
椅子に座り、全身で船を漕いでいた。
それだけのことだった。

それがわかった原因。
それが、俺の隣にいる。

「おい、おいって、起きろ!」
俺の腕を小突いてきた奴がいたからだ。
そつのせいで、俺の体は右へ左へユラユラする羽目になったんだ。

「んあ?」
いい気持ちで寝ていたというのに、一体何だっていうんだ。
まだ寝ぼけている頭を振りつつ、俺は隣の奴を見た。

「こんな時まで寝れる、お前のその無神経さがわからん!」
俺が起きたのを確認するなり、小声で罵声を上げ、
ぷいと怒ったまま、そいつは正面を向いてしまった。

何だっていうんだ。
寝こくのが、そんなに悪いことだというのか?

知らず知らずの内に、俺は両手で握りこぶしを作っていた。

わなわなと怒りに震えるのは当然だろう!
何でこんな一方的に云われないとならんのだ!

そう思えば思うほど、拳はどんどんと胸の上を上がっていき……。

勝手に怒りを向けられた腹立たちさは、同様に怒りとなって現れる。
起き抜けに馬鹿にされたこともあり、心底、腸が煮えくり返る思いがする。

けれど、この静寂の中。
この室内で怒鳴りつけるのが最低だということくらいの分別は、俺にだってある。

はーーーーっ。思い切り息をつき、
持っていきようのないモヤモヤした心を少しでも解消するために、
挙げた手を、どうにかして頭まで下ろすことに成功した。

夏夏夏


夏ですね~。

日本は一学期が終わって夏休みで。
西洋は卒業式が終わって長期休み。
ですよね~。

何はともあれ、羨ましいもんだ。

という訳で(どういう訳だ?)
卒業式ものをちまりと書いていきます~。

お付き合いのほど、お願いします。

ぽしぽし書いていくと、段々と広がる長さ……。
ま、そういうもんでしょうか。

雀(エピローグ)

『やれやれ。もう人間と関わりたくないもんだね』
腹を下した雀(A)は、爺さんを連れてきた雀(B)にブツブツグチグチと呟きます。
それに呼応するかのように、雀(B)は答えます。

『そうかい? 俺が連れてきた奴は、結構評判がよかったみたいだぞ』
その会話に雀(C)が参加してきました。
『まぁ、そう云うなよ。もう金輪際こんなことが起きることはないだろうからさ』


『でもさ、笑えるよな』
雀(A)が仲間の雀に云うことには。

俺の腹を下した原因を作ったじいさんにゃ、
土産と称して俺たちの庭から出てくる不用品を入れておいてやったんだよ。
大小、どっちにもね。
さぞかし困ったことになっただろうな。
しししっ。

そう楽しそうに笑う雀(A)でしたが、
それは人間にとっては屑ところか大変なお宝でありました。


『おまえ、そんなこと、したのか……』
呆れる雀(B)に、
『そうさ、あいつ等が悪いんだろう』
雀(A)は心底楽しそうに笑います。

過ぎてしまったことはどうしょうもない。
雀(B)はそれ以上追及することはしませんでした。
が。しかし。

『長老から云われなかったのか? きちんと接客しろって』
チクリ、と釘を刺しました。

むかり、と腹が立った雀(A)は、
『なんだよ、偉そうに。
そういうお前はあの葛籠に何を入れたっていうんだ?』
そう問われた雀(B)は
『俺たちが大切にしている貴重な食料を分けてやったんだ』
平然と答えました。
それを聞いた雀(A)は、唖然としてしまいました。

ようやく我に返ると、
『え? マジでかよ』
雀(A)は、雀(B)に呆れ顔を寄越します。
そんな視線をものともしない雀(B)は、
まぁ喜んでくれるといいんだけれどな。
誰に聞こえるでもなし、ぽつり、呟きました。


――雀にとって、金物類は邪魔なゴミでしかなく。
雀にとって、虫は大変貴重な御馳走でした。

そうです。爺さんに渡した葛籠に入っていたのは。
雀の大切な食糧でもあり、
その中でも雀にとってはえりすぐりの超一級品ばかりだったのです。


価値観というのはまるで違うもの。
雀(A)の思惑は見事に外れ、正直者のじいさんたちは、人間界で貴重な金銀財宝を。
雀(B)の思惑は見事に外れ、雀の大切な食糧は、爺さんたちにとっては恐怖のものでしかありませんでした。

尚且つ、その価値を知るじいさんたちが、それらを売り払い、
結果、金銀財宝へと変化させてしまい、
その富をじいさんたちが全て受け取ってしまったのです。

結局、雀(B)が期待した、爺さんが喜ぶ顔などは見ることも出来ずにいました。

そうしてその後の爺さんたちは、あんな事が二度とあっては困ると考え、
鳥たちとは縁のない生活をのんびり送ることになったのです。

雀(隣の家)10

「これはいいお宝じゃ」
じいさんはカサカサ動く箱の中身の音を耳にし、
「けれど生もんだよ、あんた。すぐにどうにかしないといけませんよ」
ばあさんは箱から虫が出てこれないように、しっかりと綱で縛ります。
「いい考えがある。だから引き取ってきたんだよ」

じじばばは頭を突き合わせながら、ひそひそと相談しました。

「じゃ、今から行ってくるかいな」
じいさんがどっこいしょ、と大葛籠を背負うと、
「はいよ、行ってらっしゃい。明日は御馳走だねぇ」
ばあさんはにこやかに返します。

まったくのう。正直に、隣の爺さんたちに話すもんじゃ。
うしししし。
じいさんの笑いは一向に止まりません。

うきうきしながら、爺さんは、山向こうの村へと歩みを進めます。


やれやれ、やっとついた。
半日かけてじいさんは、お目当ての門戸の前に着きました。

よっこらせ。
もう一息とばかり、じいさんは気合を入れて、戸に手をかけます。

「ごめんよ。いるかい?」
声をかけると数秒もせずに、奥から人が出てきました。
「おや、ご無沙汰だね。今日は何かよい出物でもあったのかい?」
そう云って奥から出てきたのは、腰の曲がった中年男でした。
ずり落ちそうな眼鏡をくいっと上げて、じいさんの顔を覗き込みます。

その男の顔を見るなり、じいさんは勿体ぶった態度を示しました。

「ほう」
男は期待しているとも、してないともいえない表情になりました。

じいさんは、少しムッとしながら葛籠を下ろします。
「先だってのは、二束三文だったからねぇ」
にやり、といやらしい笑い方をされても、じいさんはめげません。

じいさんは勿体ぶった調子で葛籠の箱に手をかけました。

ぱかり。

葛籠に入っていた虫を見せると、その男は驚き、感嘆の声を上げます。
「おいおい。こんな高級品。どこで手に入れたのかい!!」
男は葛籠に入っている色々な虫を見やり、じいさんを凝視しました。
けれども、じいさんは何食わぬ顔で、ひょうひょうと答えます。
「そりゃ、企業秘密ってやつだよ。
でどうだ? 買い取ってくれるか?」
「もちろんだ!」
じいさんの持ってきた虫は、その男が全て高値で買い取りました。

しししし。
大きな皮袋に大金を入れ、じいさんは半日かけて元来た道へと帰宅の途につきます。
喜びが大きい分、山道への苦労などどこ吹く風で、足取りも軽くなっておりました。

その額、先日じいさんが雀から貰った葛籠に入っていた金銀よりも多かったのです。
ほくほくしながらじいさんは大金を手に、ばあさんが待つ家に帰っていきました。


薬屋に葛籠の虫全てを高値で売った、正直もんのじいさんばあさんは大金持ちになり、
一生遊んで暮らしましたとさ。

雀(隣の家)9

箱の中から、ありとあらゆる虫が出て来たのです。

「「うぎゃーー!!」」
爺さんと婆さんは出て来た虫に驚いて、腰を抜かして慌てふためきます。

一緒に見ていた正直者のじいさんは。
「こりゃ大変だ! ワシ等が捨ててきてやろう。
ばあさん、手伝えや!」
「はい、じいさん」
阿吽の掛け声で、二人はさっさとその大籠を持って出て行ってしまいました。

その行動の速さに、爺さんと婆さんは呆気にとられ、ポツンと取り残されます。
そうしてその場はあっという間に、静寂に包まれていきました。


…………。

「やれやれ、全く大変なことになったもんだ」
爺さんがぽつりとつぶやくと、
「欲はかくもんじゃ、ないですね。所詮は獣ですよ。
騙されたんですよ。命があっただけ、よかったじゃないですか」
我に返った婆さんが慰めます。

「そうだなぁ」
爺さんはしんみりと答えながら、
あれだけ楽しく過ごさせてくれたというのに。
雀たちとの酒盛りを、ぼんやりと思い返しておりました。

「まぁ、楽しい夢を見たと思えばいいじゃないですか」
どっこいしょ。婆さんは立ち上がると、
「そうかのう」
爺さんは納得しかねつつも、婆さんの云う通り、夢と思うことにしました。

そうして、爺さんは、婆さんに雀のお宿に連れていかれたことを
楽しげに話しました。
そうして、葛籠を貰って、気づくと家の前に居て。
そうして、じいさんに云われるまま、葛籠を開けたところまで話すと。

思い出したように爺さんは呟きました。
「そういえばなぁ。
あんな大量の虫を捨てに行ってくれた、隣のじいさんたちに感謝せねばな」
「そうですねぇ」
と、二人は呑気なことを話しておりました。


がしかし。
その頃、大葛籠を持って家に帰っていった正直者のじいさんとばあさんは。

「ししし。まったく、無知というのは恐ろしいもんだね」
「そうだなぁ、ばあさん」
引き取ってきた大籠を前に、二人は狂喜乱舞しておりました。

雀(隣の家)8

満腹じゃわい。
そうこうする内に、爺さんの腹も心も満たされていきました。

あぁ、ここはどこだったっけなぁ?
爺さんはふと、奇妙な違和感を持ち始めます。
あぁ、そうか。
ばあさんが待っておるのう……。
ぼんやりとした頭で、爺さんは家に帰りたいと告げていました。


爺さんは長老に
『どちらがよろしいですかな?』
そう告げられておりました。

その言葉に、爺さんはじいさんに聞かされたことを思い出してきました。

……本当に、こんなことがあるもんだなぁ。
目を丸くしながら、爺さんは目の前に置かれた大小の葛籠を眺めます。


―――「もし同じことが起きたら、絶対に大きな葛籠を選ぶんだぞ」
じいさんは爺さんに近づきながら、こっそりと耳打ちします。
「どうしてだ?」
いきなりのことに、爺さんは身をよじります。
「そりゃもちろん。俺に対する情報提供料だ。
いいか、分け前の半分、きっちりと渡すんだぞ」

そういうものかいなぁ? 
と爺さんは疑問を持ちはしましたが。
「お、おう。わかった。まぁ、そうなれば、な」
爺さんはじいさんの迫力に押されて、わかったと答えてしまいました。


じいさんに云われた通り、爺さんは、迷わず大きな葛籠を選んでいました。

ぼんやりした頭をもたげながら、大きな葛籠を背負いつつ。
爺さんは元来た道を雀に船頭されながら、帰宅の途へと着きます。

キツネにつままれたように、ぼんやりする頭を持ちながら帰宅すると。
そこには、隣の家のじいさんとばあさん。
そして、爺さんの帰宅を今かと待っていた婆さんがおりました。

「心配したのですよ!」
婆さんが爺さんを見つけると、そう叫びましたが。
一目散に爺さんに駆け寄ってきたのは、じいさんでした。

「おぉおぉ、ほれみろ。やっぱり葛籠を貰ってきたじゃないか!」
はしゃぐじいさんに、頭がまだ働かない爺さんは、そうだなぁ。とだけ返しました。



「ほれ、さっさと開けてみろ」
じいさんに急かされるまま、爺さんは葛籠の紐を外そうとします。
けれど、しっかりと結ばれているせいで、中々外せません。
悪戦苦闘している爺さんを尻目に、じいさんの内心は、うっきうきしています。

――ワシが貰ってきたのには、大判小判が入っておった。
こんなに大きい葛籠を貰ってきたのだ。
数えきれないくらいの金銀財宝が入っているはずだ。
じいさんは一人、うしうしといやらしい笑いをしておりました。

「ようやく結び目がほどけたわい」
汗を拭き拭き、苦労して取った紐を手にし、爺さんは箱を開けようと手をかけました。

「何が出てくるかな」
じいさんは、ウキウキしながら、箱が空くのを今や遅しと待っております。

「それ!」
ぱかり。

爺さんが蓋をあけると。
その中には皆が思いもしないものが入っておりました。

雀(隣の家)7

『そうか。大役、よく果たしてくれたのぉ』
長老はそれだけ云うと、客人である爺さんを迎えるため、
その場から去りました。

一羽、ぽつんと残された雀に、
『よう。ごくろうさん』
傍らで見ていた仲間の雀が声をかけてきました。
二三、言葉を交わすと、
『しばらくお前も末席で、ご相伴にでも預かってこいよ』
にやにやしながら仲間の雀は提案してきます。
いつもなら無視するはずが、雀は疲れきっていたこともあり、
『そうだな』ぽつりと呟くと、その場から羽根を運びました。

雀が宴会場に羽根を運んだ時には。
すでに爺さんは大満足で出来上がっており、料理に舌鼓を打っております。

「婆さんに悪いのう」
云いながらも、爺さんの手にした箸は止まりません。

「こんな御馳走、よいのかのう」
時折、勧められる酒を、注がれるままに飲み干していきます。
一口含むことに、頭が段々と朦朧としていましたが。
酒のせいと、爺さんは全く気にもとめません。


『まぁま、楽しんでいってくだされ』
爺さんの隣に座る長老もまた、酒も料理も増々爺さんに勧めます。
そうして、いつしか酒で口が軽くなった爺さんに。
長老は何でもないようにたずねます。

『して、どうしてこのようなことをなさったのですか?』
尋ねられるまま、爺さんは、正直者のじいさんの事の顛末を喋りました。


それを聞いていた若い雀たち。
『やっぱ、そうじゃん』
ひそひそと、耳打ちを始めます。
『でもさ、この前に来た人間。あれだけ痛めつけたのに、何で真似るかね?』
『人というのはわからん生きもんだな』
『でもさ。こいつの家の食べもんで、誰も腹は下してないんだろう?』
『この爺さんの庭には、きちんと食べれるモンがあって、
山向こうの鳥たちは助かっていたのだろう?』
『そうだよ、いい人間じゃないのか?』
『結果的にそうなった、ってだけじゃねーの?』
『ま、俺たちには関係ねーけどな』
『そりゃそうか』
『でも、あいつをどうするんだろうな?』

末席にいた雀は会話に参加せず、耳だけ傾けていました。

雀(隣の家)6

ある程度の山中へ。
そこまでくると、雀は近くにある木へ止まり、爺さんに伝えます。

『よいですか?
一旦目を閉じてください。
私がよいと云うまで、目を開けてはなりませんよ』

「あぁ、あぁ、わかったよ」
爺さんは素直に目をつむり、ご丁寧に目を両手で隠しもしました。

その姿に安堵した雀は―――
ボソボソと人にはわからない言葉をつぶやき始めます。

そうして数分。
『もう目を開けてもよいですよ』
雀に云われ、爺さんが目を開けます。
しかし、何ら変わった様子はありません。
何をしたのかのう? そう思いはしつつも、爺さんは口には出さずにおりました。

『さぁさ。この先の道はわかりにくいですから、私から絶対に離れないでくださいよ』
雀はそう云うと、真っ直ぐに飛んでいってしまいます。
慌てて爺さんはその後を必死に追いました。

爺さんは雀を目で追っていたため、
自らの身に起きていることには気づくことがありませんでした。

雀を一歩ずつ追いかけると、爺さんの体はその度ごとに小さくなっていったのです。

『さぁ、着きましたよ』
そう云われた頃には、爺さんの体は雀より少し大きいほどの背丈になっておりました。
雀の迷い道へと入った爺さんは、背丈のみならず、思考能力も減っていき、
自らの体が雀と同じほど小さくなっていることなど、
まるで意に返すことはありませんでした。

「そうか、そうか。ここがお前たちの住処なのか」
爺さんはただ、感心したように目の前に広がる光景をぼんやりと眺めます。


暫くすると、うやうやしく爺さんを向かい入れる雀が現れました。
爺さんはされるがままに、その雀についていきました。

『やれやれ。これで爺さんが帰る時まで、俺の出番は無いか』
そう思った雀は、爺さんが来たことを告げるため、長老の所へと足を運びました。

ソレはいつも突然に……

毎日、あっついのぅん。
汗だくですわ。

社内の室内温度、大抵30℃以上。
社長命令で、ドアも窓も、完璧密閉状態。
(誰かが守らないと、なぜ~か、社長の怒りの矛先が私に…なぜ?
「よわっちーくて、あんたが一番云いやすいんだろう(笑)」
と、他社員等の生暖かいお言葉を頂戴する有様。
それがあまりに酷いからか、庇ってくれる社員さんもチラリホラリ(ホロリ))

そんなで、室内は暑いのなんの、この上ナッシング。
サウナに入っていると思いねぃ!
って江戸っ子みたいになればよいのんか?

締めきっているから、息苦しいし……。
酸素、プリーズゥゥゥ……。
水槽の酸素が足りない金魚状態ですわ。

そんな状況下。
冷房、誰もつけられず。

時折、社長は何を思うのか。
暑い中、室内エアコンをポチリ。
ではなく、ガガガガ、と両手使い…。
最近は慣れたとはいえ。
最初はビビりましたよ。

でもって。
この暑い最中!
なぜに「暖房」設定にしていく……!!??

1、2分もせずに、室内温度が40℃近く!!!
ひょえーーー!!
(倉庫は40℃以上あるから、まぁ。
そっちで働いている時のと変わらない温度ですが)

そんな暖房を、誰も消せる社員がおらん(社長に逆らえない)ので、
しばらく我慢大会が始まる…。


社員一同、そんな社長の行動に。
「ボ○、てる」でもって、「ほっとけ」
というのが大半。いいのか?それで。と突っ込みたくもなりんすが。
他社員は大人なのか、、面倒に関わらないやり方を心得ているのんか。


まぁ、そんな大人(?)な対応を見習いつつ(?)

そんな毎日。唇が、パリパリでありんす。
湿度も無くなっているのかなぁ?

皆さま、熱中症には、お気を付けくださいまし。





これを鏡としてみると???

あたしゃ、何か、云えずに我慢しているってことかい??
それとも、他人を拷問しているとか…?
ひぃぃ!!

御後がよろしくないようで…。

無題


雀(隣の家)5

『此度は、我々を助けていただきありがとうございます。
その御礼といたしまして……』

爺さんがのんびり縁側で茶をすすっていると。
雀が一羽、爺さんの目の前に降りてきて、そうして一言。

人語を喋る雀に、爺さんは一瞬で固まってしまいました。
な、何が起きておる???

呆然として、雀の言葉を右から左へとスルーしていました。
(人間誰しも、予想外のことが起きると。
中々受け入れられないものです)

『あの、聞いていらっしゃいますか?』
雀が不安そうに首を傾げ、爺さんを眺めます。
ようやく我に返った爺さんは、あたふたと雀に答えました。

「あぁ、聞いとらんかった。で、ワシに何ぞ用かい?」
もし正直者のじいさんが云ってたことが本当ならば。
この後、雀の国に迎え入れられることになる、のか?

期待と不安の二つ心で揺れながら、爺さんは雀を凝視しております。
でもなぁ。この庭に、雀らしき鳥は来んかったのじゃがのう……。
爺さんは首を傾げつつ、雀の話しを聞いていました。

雀は呆れた顔をしながらも、
此度の功労により、我らの長老はあなたに礼が云いたい。
そう申しているということを、うやうやしく、爺さんに向かい、雀は述べました。
もし応じていただけるのであれば、今から早速案内します、とも。

爺さんは、婆さんに声をかけることなく出かけるのはためらわれました。
雀の迎えが来たのは、婆さんが庭に撒け、といったおかげであるのですから。
本当の功労者は婆さんなのに……。
けれどもし、此度の誘いを断ったとしたら。
こんな機会は二度と訪れるものではないのではないか?
そう考えると、一も二もなく、
「連れて行っておくれ!」
爺さんは雀に肯定の返事をしておりました。

『そうですか。
では、しばらくは私の後をついてきてください』

雀はパタパタと上空へと舞い上がり、回旋しながら、爺さんの様子を眺めておりました。

身支度をした爺さんが外に出るのを雀が見届けると。
雀は一直線に羽根を向け、爺さんを先導し始めます。

まぁ、何でもないことですが…

殺伐としたモンばっかり書いていると(ブログ上の、ではないです)
段々と、華やか~な、絵が描きたくなってきた。
下記みたいのじゃなくて

けれど。
手元には、鉛筆・ボールペン・マッキーくらいしか無い…。
ので、マッキーでぐりぐりと描いてみましたが。
ううーん。

その内、まとも(?)なのを描くかもしれない。




会社に、私の身長の1/3ほどの、でかい段ボールが届きました。
(俗に云う、お中元、です)

うひゃっほー♪
と受け取り、社長に渡すと……。

その内、続く。

4コマで描きたかったような。
画像のアップの仕方がよくわなんなくて…。

笑い1

雀(隣の家)4

長旅から帰宅した雀は、長老に要件を伝えたあと。
思い出したように、先ほど見た出来事も伝えました。

『ほう。山はそんなに食糧が足らんのか。
この地は、土は肥え、裕福だというのにのう。
人間は山の事情を知り、食糧を与えてくれているということか?』
そう問われたところで、雀は見てきたことを述べたまで。
旅してきた雀にはわかりません。

『さぁ、そこまでは』わかりかねます、という言葉を飲み込みます。
ふむ。長老は両羽根を胸の前で器用に組むと、
『その家の人間を呼んで、話しを聞いてみたらどうか』

え? 
いきなりの提案に、雀は目が点になりました……。
『こないだ、人間を呼んだときは、何ら問題は起きずに終わったわい』
ほほほ。と軽口叩いて笑う長老。

『まぁ、そりゃそうですが』
その準備をするのは若い連中で。
俺が口火を切った船頭に立ったとわかったら……。
連中から何されるかわからんわい…。
こりゃ面倒なことになったもんだ。

雀は自分の口の軽さにうんざりしてしまいます。

けれども長老雀の命令には逆らえません。
雀は、面倒はさっさと終えるのが一番!
とばかり、準備に取り掛かりました。


それから数日の後。
長老雀一押しの、土産の用意が整うと。

雀は人間を迎える準備をすることにしました。

雀(隣の家)3

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雀(隣の家)2

「まぁ、そうは云ったって。
隣のじいさんと同じような、うまい話しが簡単にあるわけじゃあるまいし」
爺さんは勿体ないと思いつつも。
婆さんが作った粥を、縁側に放置しておきました。

一日、二日。何も変化がありません。

ほれみろ。何も起きない。勿体ないではないか。
爺さんは心の中でそう思いつつ、婆さんの機嫌を損ねないよう、提案してみます。

「なぁ、婆さん。
粥じゃなくて、そのまま米粒を庭に撒いたらどうだろうか。
粥は一日中放置すりゃ、腐ってしまい、自分達ですら食えなくなるわい。
その点、もみ殻を放置したところで、腐りもせん。
放置しっぱなしで楽でよいじゃないか」

自ら育てた大切な米を、腐らせ廃棄するのに抵抗があるのは爺さんだけではありません。
「そうじゃなぁ」婆さんはあっさり同意すると、
粥ではなく、もみ殻に残った米を庭に撒くことにしました。

それから何日も経ちますが、
隣のじいさんが云ってたような雀は一向に現れません。

最近では、米が撒かれている。という鳥ネットワークにより、
爺さんたちの庭には、雀ではない鳥が集まるようになりました。

そうしていつしか爺さんと婆さんは、
庭にくる小鳥たちのために餌をやる羽目になっていました。

「なんだかなぁ」
段々と嫌気も指しながら、爺さんは、もみ殻を撒きながら、
「糞害もあるし、もう止めたらどうだ?」
そう婆さんに問います。

しかし、
「どうせ捨てるしかない部分ですよ。
鳥が処理してくれるなら、よいではないですか。
糞だって、うぐいすが来てくれりゃ、よい金になりますよ。
それに鳥がこれを食べるから、以前よりも畑を荒らされずに済んでるじゃないですか。
他の生き物に、自分達の分け前を与えると考えりゃよいですよ」

それでも納得しかねる爺さんではありましたが。
やはり、婆さんには逆らえずにおりました。

雀(隣の家)

「ほう。そりゃ面白いことが起きるもんだなぁ」

関心しつつも、爺さんは話し半分に聞いておりました。
のんびりと茶をすすり、よかったのう。と呑気に話す爺さんに。
正直、ムッときたじいさんは、あることを思いつきます。

「なぁなぁ、あんたも同じこと、してみちゃどうかね」
(なに、どうせ、同じことにはなりゃせんだろう)
「うまくいきゃ、あんたも大判小判が手に入るだろうよ」
(もし、同じことが起きたとしたら……)
にんまりと、内心ほくそ笑むじいさんに。
爺さんは、でもなぁ。と渋っておりました。

「大判小判よりも、米が惜しいのか?」
「そりゃ、大切なもんじゃしのう」
即答する爺さんを、どう説得したもんか。
と頭をひねり、閃きます。

「この時期、稲の悪いもんは落っこちるだろう。
それを庭に撒いてみたらどうかね」
それでも、
「でもなぁ。米は神さんから貰ったもんだし」
爺さんはなおも渋ります。

じいさんは、本来の目的を段々と忘れ、
意地でも爺さんに雀に米をあげるように仕向けたくなっていました。

「雀だって、神の使いのようなもんじゃないか。
その神に、米をお返しすると思えばいいんじゃないか?」
「そういうもんかのう」
半信半疑に思いつつも、それでも爺さんは中々同意をしません。

渋る爺さんに、じいさんがイライラとしてきた時。
じいさんに力強い援軍が現れました。

「お爺さん。そんなにケチくさいことを云うもんじゃないですよ。
腹をすかせた雀に、私たちの飯を分けるくらい、どうってことないじゃないですか」
二人の話しを聞いていた婆さんが、にこやかに会話に加わってきたのです。

いつの時代も強いのは女です。
爺さんは婆さんの意見に逆らえず、
「そうだのう……」と、婆さんとじいさんの提案を受け入れることにいたしました。


雀2

『あぁ、酷い目に遭った』
じいさん宅で腐った糊を食べた雀は、仲間の雀に文句をたれました。

『けれど、一応そのおかげで戻ってこれたんだから』
『そうなんだけれどもさ~』
はぁ、と溜息をつくと、雀は長老にそのことも一緒に報告しました。

『そうか。長旅ご苦労であった。
して、おぬしが勝手に食べた人間の食事に対する恩は、報いんとならん。
お前、招待してまいれ』
『えぇぇぇ!?』

腹を下した身としては。
その恩に報いないとならないことに、どうにも納得が出来ず。
さりとて、長老の御言葉に逆らうことも出来ず。
悶悶としつつも、雀は一計を案じました。


じいさんが山へ芝刈りに出かけると。
それに合わせて一匹の雀がじいさんを追跡し始めます。

じいさんが山の中腹までいくと、雀は声を掛けました。
「ちゅんちゅんちゅん」
『おじいさん、この前は貴重な米糊を頂戴してしまい、申し訳ありませんでした』
いきなり声をかけられびっくりしたじいさんでしたが、
すぐに自分よりも小さいものが声をかけていると知り、大きな態度になりました。

「なぬ? おぬしが犯人だったのか。
あの糊は貴重なものでな……」
いかに大切な糊だったのかと、つらつらとじいさんは雀に語りかけます。

あんな腐った米をそんなに云われると。
そのせいで腹を下した雀は段々と腹立たしく思えてきました。
うんざりしてきた雀は、じいさんの話しをぶった切ろうと、
『えぇ、なので。
そのお詫びとお礼を兼ねて、おじいさんをご招待しようとお声をかけました』
雀がきっぱりと云い切ると、じいさんはそれ以上文句を云えず、黙ってしまいました。

『さぁさぁ、私に着いてきてください』

じいさんは胡散臭げに思いつつも。
何か起きたところで、雀くらいならどうにでもなるだろう。
と鷹を括り、着いていくことに決めました。

とある場所まで行くと、雀はじいさんに、ちょっと後ろを向いていてください。
と話しかけました。
じいさんは素直に後ろを向くと。
雀はすぐに、もういいですよ、と声をかけました。

じいさんが振り返ると。
そこには人が通れるくらいの道が出来ておりました。

「ほう、これは」と、感心しながら雀の後について歩くこと数分。
大勢の雀に迎え入れられ、じいさんは驚きを隠せませんでした。

『この度は、うちの者がご迷惑をおかけしたそうで』
その中で一番老けて見える雀がじいさんに向かい、挨拶をしてきました。

『これは、ささやかながらのお礼になります』
老雀がそう云った途端。

じいさんの体が持ちあげられ、丁重に客席へと運ばれました。
目の前には見た事もないような豪勢な料理や酒が並べられております。
目が点になったまま、動かずにいたじいさんに、
『さぁさ。遠慮なさらず』 と、料理を勧めます。

老雀が両の羽根をぽんぽんと叩くと。
ささっと若い雀がじいさんの傍らに着き、酒を注ぎ、料理を運び、せっせと世話を焼きました。
それからどれだけの時間が過ぎたことでしょうか。

じいさんは腹が満たされると、ふとばあさんのことを思い出しました。
「帰りたくはないが、ばあさんが待っとる。
残念だけれど、帰らにゃならん。
こんなもてなしを受けるのであれば、ばあさんも一緒がよかったのう」

ばあさん共々、もてなしてもらいたい。
という本音を隠しつつ、遠い目をしながら、じいさんは老雀に語りかけました。
けれど。

『こやつがお世話になったのは、あなた様なので、それは出来兼ねます。
その代わり』
老雀が云いつつ、両羽根をぽんぽんと叩くと。

ささっ、とじいさんの目の前に、大小二つの葛籠が用意されました。
『このどちらかをお土産にお持ち帰りください』

そう云われ、じいさんは持ち帰りが楽な小さい葛籠を選びました。

雀たちに見送られ、最初に案内してきた雀が、じいさんと出会った先まで送ると。
雀は羽根を広げ、パタパタと大空に飛び立って行きました。

「いやはや。土産までもらえるとはな。
これで薪拾いをしなかった言い訳が出来るわい」
にこにこ笑いながら、じいさんは安心して岐路に着きました。

家に帰ると、じいさんは詳しい話しは置いておき。
ばあさんに話し出しました。
雀の集落に行って、馳走になった話しをし、土産にもらった葛籠を見せました。

ばあさんは話し半分に聞いていましたが。
その葛籠に入っているものが気に成って仕方がありません。

「じいさんや、早くその中身を見せてはくれんかのう」
じいさんを急かすと、じいさんは勿体ぶりながら、葛籠を開けました。

するとそこには。
驚くくらいの大判小判が入っているではないですか!

ひえぇぇぇ。
じいさんとばあさんは腰を抜かしてしまいました。

まさか腐った糊が、大判小判になるとは。
じいさんは、開いた口がふさがらず。

翌日、隣のじいさん夫婦に、正直者のじいさんはその出来事を話しました。

舌切り雀のパロをと思っていたら♪
切られる話しを出さずに書いた♪
仕方がないから、腹下しに変更した♪
さてさて、どういう話しになるか♪
(やぎさんゆうびんの曲を付けて♪)




正直者と申しますのは、自分の心に実直に生きること。
率直で素直。
赤子のように無垢で善悪の判断がつかないことではないでしょうか。
いじわる者と申しますのは、小心者で人とは同じことをしないと恐ろしくなる性格。
いつも人の顔色をみているせいで、ひねくれてみられる。のではないでしょうか。

さてはて、此度のお話しは……?


春のうららかな午後。
正直者のじいさんは、出かけるという正直者のばあさんに乞われ、障子の張り替えをしておりました。

「はぁ、障子紙をピンと張るは、めんどいもんじゃな。それにこの臭いも……」
じいさんは糊を塗り塗り、必死に障子の張り替えをします。
使う糊は食べるに難しくなった米糊のため、ちょいと怪しい臭いを発しています。


単調作業に慣れないじいさんは、しばらくすると作業に飽いてきました。
「こんなよい天気に、ワシは何をしておるんだか」

じいさんは段々と自分のしていることが馬鹿らしくなりました。
手に付いた糊をこすり落としつつ、ばあさんの監視が無いのをいいことに、じいさんはさぼり始めます。

縁側から天気のよい空を見上げると、そのまま横になり。
しだいにうとうとし始め、ぐーすかぴー、と寝入ってしまいました。


そんなじいさんのいる庭に、一匹の雀が紛れ込んできました。
「ぢゅん、ぢゅん、ぢゅん」
『うううう。お腹が空いて、家まで持ちそうにないよぅ……』
ピーピーと鳴き散らし、庭でよろよろとしていると。

『くんくんくん』
なにやら鼻孔をくすぐるいい香りが、雀の鼻に入ってきました。

『なに? このいい匂いは!』
雀は喜び勇んで気力を振り絞り、その香りのする方向へと目指しました。

雀の目に入ったもの。
どろり。
そこには腐った米を糊として溶かした液体がありました。

『あ、あった! あれは米じゃないか!』
嬉しくなった雀は、一目散に米糊が置かれている畳の上に飛び上がります。
雀はじいさんが寝ているのをいいことに、米糊をぺろりと平らげました。

「ちゅんちゅんちゅん」
『あぁ、満足した』これで家まで持ちそうだ。
そういうと、なぜかふらふらしながらも家に帰っていきました。
(家に辿り着いた途端、雀が腹を下したことは云うまでもなく…)


そんなことを知らないじいさんは、ようやく目を覚ましてぼんやりとしていると。
ばあさんが帰宅しました。
やれ、しまったわい。ばあさんが帰ってきてしもうたわ。

じいさんは、ばあさんに頼まれた仕事が終わっていないのを思い出し、オロオロとします。
「や、やれ、おかえり」
緊張しながらばあさんに対峙したじいさんでしたが。

けれど、ばあさんは怒るところか、
「おやおや、おじいさん。ごくろうさまでした」
じいさんをねぎらうではないですか。

じいさんはなぜねぎらわれるのかわからず驚きました。
墓穴を掘りたくないじいさんは、何も云わず、黙ってばあさんの言葉を聞くことにしました。

「糊が足りなかったのですかね。残りの張り替えはまた今度にしましょうか」
ばあさんのその言葉に、じいさんは糊の入った器が空になっているのに気付きました。
おや? いつの間にか糊が無くなっておる。不思議なことがあるもんじゃ。

じいさんは知らない内に無くなった糊のおかげで、ばあさんにきちんと仕事をしたと思われ、感謝され。
ばあさんがじいさんへのお土産にと持って帰ってきた美味しいお茶を飲みました。
その上、じいさんが頑張ってくれたと云って、ばあさんはいつも以上に腕によりをかけ、美味しい夕ご飯を作りました。

「なぜかしらんが、役得じゃわい」
じいさんはニンマリしながら、糊を持ち去ってくれたものに内心で感謝しておりました。

かごめ11

囲まれ続けると、段々精神もおかしくなるというものだ。
あぁ、思い出したよ。
だから私はフイをついて、この場所から逃げたんだ。
完璧、フライング。
そうしてまた、囲い戻された。
私は暗い世界の中に、戻された。
次の順番は、三日月の口をもったワタシだった?
いや違う。
その子も逃げ出したクチだ。
いつかワタシは囲い戻されるんだろう。


私はこうやってワタシに囲まれて、私の本音を知った。
あの世界からも出て行きたかった。
憎らしくて仕方が無かった。
世の中すべてに未練なんてなかった。
けれど。
こんな場所で死を迎えるのが怖かった。
あの世界で私以外のワタシが私のふりをして、何かをするのが怖かった。
今まで積み上げてきた信用信頼、そんなものを壊されるようで恐ろしかった。
だから、この世界もあの世界も、潰してから、私は存在を消したかった。

遠くに見える、三日月の口をしたワタシ。
私と交換したワタシ。
外見が何もかも、私でなければ。
まだこんな風には思いもしなかっただろうな。



そう、私はワタシに囲まれていた。
囲んでいたのは、ワタシの本音たち。
汚い部分。
ずっと騙して出さなかった部分。
鬼である主人格の私が押さえつけていた人格。
この子がこの輪の中心に入ったら?
私の代わりに、この子が入ったら?

向こう側へ行けずとも、このくるくると回る囲いに入れたら。
私はどう変化するだろう?

けれども私はずっと、この囲いから逃げることは、出来ないのだろうな。

かごめ10

何もないこの場所に、変化を見せているのは。

私の目の前で楽しげにしている、悪意を持った私だということ。
私の方を向かい、髪をセットして。衣服を整えて。
唯一私とは違う、三日月のような口元を上げて。
私に向けてくる。
いったいどういうこと?

『あれ、私よね?!』
誰に云うでもなく、私はそこにいる子たちに同意を求めていた。

『あなたであって、あなたでない』
答えはすぐに返ってはきた。

『じゃぁ私は誰で、あいつは誰よ!』
これって完璧八つ当たりじゃん。でも、出てくる言葉は止められない。

『あれもあなた。これもあなた』
けれど、事もなげに返してくる。

『ちょっと、あんたね……』
淡々と云うその子に段々と腹が立ってきて、声をあげようとした瞬間。

『な、な!』
目の前に見えている光へ嘆く私に対し、ふいに後ろから強い力で私は引っ張られた。
きゃー。こてん。
悲鳴と私が倒れるのは同時だった。
いたたたた……。ひっ!
後ろへひっくり返って見えたものに、私は心底驚愕した。

逆さに見えるけれど、そこには何人ものワタシが、そろっている。
表情は。楽しそうだったり、悲しそうだったり、怒っていたり。
色々だったけれど。そこにいたのは全部私だった。

倒れた私を、何人ものワタシが囲いこむ。
え? 何? 止めてよ!
そんな私の言葉など、軽く吹かれるくらいにワタシたちが押し寄せてくる。

『やぁ、鬼が返ってきた』『うれしや、うれし』
ワタシたちは手を取り合い、円を創る。
そのまま私を中心に据え置くと、歌い始めた。


♪か~こめ♪ かこめ♪
(ちょ、ちょっと)

♪か~ごの♪ な~かの♪ とーりぃは♪
(あぁそうだ。思い出してきた。私はまた囚われたんだ)

♪い~つ♪ い~つ♪ でーやぁる♪
(これで一生、この場所から出る機会を失った?)

♪夜明けの、晩に♪
(一生、この暗い世界に)

♪つーると♪ かーめが♪ すーべった♪
(こいつらの誰かが、すべって囲いを外さない限りにおいて)

♪後ろの正面、だぁれ?
(私は一生、出れないのかもしれない?)

かごめ9


私の目に温かい手が触れてきて、暫くするとその手は離された。
『目を開けてごらんなさい』

そう云われ、私が目をゆっくりと開けると。
『え? 何?』
今まで見えなかった光が徐々に、目に入り込んでくるのがわかった。

嬉しさというよりも、驚きが勝る。
自分の手を見てから、辺りをきょろきょろさせる私に向かって、
淡々と言葉を発する子がいた。
多分、それがさっき私を連れてきた子だと思う。
『あなたはあの子の代わり。
ここに居て、ここから外を見ていればいいの』
指差された先を見ると、そこには。

私がずっと探していたものが、そこにはあった。
『やっぱ、夢じゃないんだ!!!』
手を伸ばして、それを掴もうとした瞬間。
“がつっ…”
無常にも、それは手に入らなかった。
『いったーーーい!』
手にしたのは、単なる痛みだけ。
私は思わず悲鳴を上げていた。

今まで無かったのに。
地面以外、どこにもぶち当たるモノなんて存在しなかったのに!
何でいきなり、壁が出来ているの!?

私はすぐに目の前の見えないソレを叩いてみた。
けれど、何の変化も見せない。
叩いたところで、音すら出ない。割れそうにもない。

目の前に見えるのは。
私が意識を無くす前に見たあの三日月の形をした口だった。

かごめ8

もういやだーー!!
一人狂ったように苦しみあえいでいると。

『やっと。見つけた』
どこからともなく、声が聞こえた。気がした。

そらみみ?
方向感覚もなく、どこに振り向いてよいのかすらわからない。
私は少し緊張しながらも、目をつむり、両手で地面を握りしめ、耳を頼りに集中した。
けれど、何も聞こえることは無かった。

やっぱり、そらみみか。
一気に脱力しかけた瞬間。
しゃがんだままの、地面に着いた私の両手が掴まれた。
『ひゃ!』
見えない誰かが私の手を取り、立たせると。
私の手を掴んだまま、歩いていこうとする。

『ちょ、えぇぇぇぇ!?』
暗闇の中、何がどうなっているのかわからない。
今まで何も、誰も、いなかったのに。
どうしていきなり、いまさら何かが湧いてくる?!

でもこの手の感触からするに、私よりも小さい女の子かな?
だったら安心しても平気かな?
いやいや、どうよ、それ。
心の中で云いつつも。
けつまづきそうになりながら、私は引っ張られるまま、されるがままだった。

その子の歩みはいつまでたっても終わらない。
人って慣れてくると怖くなくなるもんなのかね。

ねぇ、ちょっと。
私はいきり立って声をかけようとしたけれど、
『カケラは一人で歩き回ってたらいけないわ』
ぴしゃり、と話しを切られてしまう。
私はその手を離せずに、ただついていくしか出来なかった。

ちょっとよたよたしながらだけれど、私はその子に手をとられ、
何だか久しぶりに、進化した人のように、両足だけで歩いていた。
いままで這いつくばっていただけに。
それだけでも十分に、奇妙な感覚を味わっている。


しばらくすると、
『見つかったの?』
と、新たな声が耳には入ってきた。

こくり。私の手を握っていた子が頭を一つ下げた気がする。

『そ。よかったわ。……が見つかって』
何が見つかった?
最後の言葉は私には聞き取れなかった。

かごめ7

鏡に手を付いた瞬間、引きずり込まれ、た?

もしかしなくても、ねぇ。
私が、鏡の中に入ったってこと?
どうやって???
しかも、誰かと入れ替わり? 
それって、誰!!?

それより、どうやったらこの場から出られるの?
一生こんな場所に一人なんて、こと、無いよね?
ぎゃー!!
自分の考えに恐ろしくなってどうすんのよ!

ってか、鏡の中なら何で真っ暗なのよ!!?
普通、何かしらが映っているはずよね?
何で何にも見えないの?
や、やっぱ、これは夢?
鏡の中なんて想像も出来ないから真っ暗なの?


と、とりあえず、どこに行けばいい?
いや、どこにも行けない。
こんな真っ暗闇の中、どこに行ける?
いや、何かを想像すれば、光は見える?

ううーん。
一心不乱に太陽を想像したところで……。
何も変化は無い。

あぁ…。完璧、途方に暮れてしまった。



あれから、どのくらい、時間が過ぎたんだろう。

時折、遠くに光が見える時もある。
気のせいかもしれないけれど。
それは逃げ水と同じで、どんなに頑張っても追いつけない。
多分。
逃げ場はどこにも無くて、用意もされていない。
どこに行っても変わらない。

段々と、夢を見ているのではないか。そう考えるようになっていた。
明るいって思っていた、外の世界で生活をしていたのが、夢で。
私がいるべき本来の場所はここで。
この場所にいること。私はそこから現実逃避をしていた?
そういえば。外の世界って、いったい、どんなところだったっけ。

ぼんやりと、暗闇の中で一人。
何かを考えていないと、「私」という「個」が無くなってしまいそうで。
だから、頭だけは働かせていた。
体を動かすことはしなくても。

ただ、ここにいればいい。
それがきっと正しいんだ。
それなのに。
なんでかわからないけれど、この場所から出ようとしている私もいる。
不可能を可能にしたがっている?
あーーもう、わけわかんない!
ねぇ、ここにいる私は、誰?
そもそも、私って、何?
どういう存在なの?
カウンター
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